一人で抱え込まないで!徘徊が始まったら頼るべき認知症カフェについて

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一人で抱え込まないで!徘徊が始まったら頼るべき認知症カフェについて

在宅介護をしていると介護は家族の問題だから‥と誰にも相談できずに思い詰めてしまいがちです。
だからといって誰彼かまわず相談するのも気がひけてしまいますよね?

しかし、そういった悩みや不安を一人で抱えたままでいると、ストレスで体調を崩したり余裕がなくなって認知症の人にあたってしまったり良いことはありません。

認知症の介護と長く付き合っていくためには、介護者の方ご自身のケアをしてあげることが大切なのです。
今回は、認知症の介護でお悩みを抱えている方に是非知って欲しい「認知症カフェ」についてご説明します。

国が制定した新オレンジプランについて

まず、認知症カフェについてご説明する前に、2015年1月27日に厚生労働省をはじめとする関係府省庁によって制定された新オレンジプランについてお話しします。

なぜなら、認知症カフェは新オレンジプランのもと取り組みが行われているからです。

新オレンジプランの基本的な考え方は以下の通りです。
認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す。

新オレンジプランが制定された理由は、超高齢化社会による認知症の増加です。
認知症が増え続けているにも関わらず社会の理解や体制が不十分であることから、認知症になっても自分らしく安心して住める社会を目指して様々な取り組みを行うことを目的としています。
2012年に公表されたオレンジプランがもととなっており、そのオレンジプランを修正して出来たのが新オレンジプランなのです。

オレンジプランは厚生労働省のみで制定しましたが、新オレンジプランでは厚生労働省を筆頭に、内閣府、金融庁、総務省など関係省庁が共同して策定しています。
これは様々な角度から認知症の人をサポートする仕組みづくりを目指すことを意味しています。

新オレンジプランは以下の7つの柱にそって、認知症の人にとって住みやすい地域づくりを進めていきます。

新オレンジプラン7つの柱

1. 認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進

認知症に対する正しい知識と理解を深めることを目指します。

    広告やキャンペーンなどで認知症についてのPR
    認知症サポーターの養成
    学校での認知症への理解を深める教育の推進 など
2. 認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供

個人差の激しい認知症の症状に対応できるよう、より専門的で柔軟なケアを勧めていきます。

  • 体操教室の開催など認知症の発症予防
  • 認知症の症状やMCI(軽度認知障害)について知識の普及
  • 適切な医療や介護が受けられる体制づくり
  • 認知症の人に適した介護サービスの整備 など
3. 若年性認知症施策の強化

診断がしにくく対応が遅れがちな若年性認知症の早期発見・早期対応を目指します。

  • 若年性認知症の人の就労・社会参加などの支援 など
4. 認知症の人の介護者への支援

認知症の人を一番近くで支えている介護者へのケアや負担の軽減を行います。

  • 認知症カフェの設置
  • 族向けの認知症介護教室などの普及
  • 介護ロボットなどの開発支援 など
5. 認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進

認知症の人にかぎらず高齢者が暮らしやすい社会を目指します。

  • 家事支援や配食、宅配など生活の支援
  • バリアフリー化の推進
  • 一人暮らしの高齢者の安全確認
  • 行方不明者の早期発見のため地域での見守り体制の整備
6. 認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進

認知症の治療や予防、効果的な治療薬についての開発・研究を勧めていきます。

  • 認知症の人が簡単に研究へ参加できるような仕組みづくり
7. 認知症の人やその家族の視点の重視

認知症の人やご家族が本当に必要としていることや問題について、その人たちの立場になって考えて支援してきます。

  • 認知症の人の実態調査
  • 認知症の施策について認知症の人やご家族にも協力してもらう仕組み

このように新オレンジプランでは、認知症の予防から認知症の人の介護者のケアまで幅広く考えています。
認知症カフェは4つ目の柱「認知症の人の介護者への支援」において、重要な施策のひとつなのです。

認知症カフェとは?

認知症カフェって?

認知症カフェとは、認知症の人やそのご家族が地域の人や専門家と交流したり情報を共有することで、お互いを理解し合うことを目的とした集まりのことです。

介護についての情報交換なども盛んに行われています。
介護者にとっては自分と同じ状況の人と直接話せる場ですので、日頃の不安や悩みなどを打ち明けられる貴重な機会でもあるのです。

2014年の実績調査では、認知症カフェは41都道府県280市町村にて設置されています。
2018年からはすべての市町村に設置される認知症地域支援推進委員などの企画により地域にあわせて実施される予定です。

認知症カフェに参加するメリット

それでは、認知症カフェに参加するとどのようないいことがあるのでしょうか。
認知症の人の立場と介護者の人の立場からメリットをご説明していきます。

認知症の人のメリット

認知症の人のメリット

明るい気持ちになれる
お茶を飲んでゆっくりと過ごしたり話しをしたりする場があることで明るく笑顔になれます。

症状の進行を緩やかにすることが期待できる
家族以外の人で触れ合い生きがいを感じたりカフェの催しを楽しんだりすることが症状の緩和に繋がる場合もあります。

リラックスできる
カフェによっては民家などご高齢の方にも馴染みのある空間で催されていますので、リラックスした気持ちで過ごせます。

社会的なつながりや役割を得られる
地域の方や他の認知症の人と触れ合ったり共同で作業を行うことで社会的なつながりや役割を得ることが出来ます。

自分らしさを取り戻せる
他の人との楽しい会話や趣味や工作などを通じて、自分らしさを表現し取り戻すことが期待されます。

既存の介護保険サービスに馴染めない人でも気軽に参加できる
介護保険サービスを利用するのは抵抗がある方でも、認知症カフェなら気軽に参加することができます。

認知症の人のご家族(介護者)のメリット

ご家族のメリット

横のつながりを得られる
カフェにくる人のほとんどは認知症の人を在宅で介護されているご家族です。自分とお暗示ような状況の人と繋がり励まし合える関係は、孤独を感じがちな介護にとってとても大切な関係です。

認知症についての専門的な知識を得られる
専門家や介護職員などが参加しているカフェも多く、そこでは認知症の知識や介護の仕方について支援を受けることができます。

認知症ケアについてサポートしてもらえる
国や自治体が提供している認知症の人向けのサービスについて具体的な案内をしてもらえます。

認知症介護の悩みを思いを聞けたり聞いてもらえる
なかなか話しづらい介護のお悩みでも、専門家や同じ立場の人へだったら打ち明けやすいですよね?誰かに話しを聞いてもらうだけでも心は落ち着きます。

実体験に基づい認知症介護の工夫や情報を共有できる
認知症カフェでは参加者はほとんど在宅介護をされている方なので、症状に合わせた工夫やおすすめの介護用品など、様々な介護に関する情報を共有することができます。

認知症の人への理解を深められる
専門家や他のご家族の認知症の人への接し方を見ることが出来るので、認知症ケアの理解が深めることができます。

認知症カフェの種類

次に、認知症カフェの種類についてご説明します。
認知症カフェは大きく以下の4つのタイプのものがあります。
お気軽に興味を持ったものへ参加してみてくださいね。

認知症の人とそのご家族がメインのタイプ

主催 家族会や個人
開催場所 個人の家、市民スペースなど
カフェの内容 お茶を飲みながら会話を楽しむ
認知症の人にお茶をいれてもらうなど役割を与えることもあります
費用 昼食・飲み物代など

認知症の人とそのご家族で参加し、お茶が昼食を食べながらご家族同士で交流をするのが主な目的です。
認知症に対する思いを発信したり、意見交換などを行っている場合が多く、「仲間」として認知症ケアの横のつながりを増やすための場にもなっています。

専門施設や専門家が主導しているタイプ

主催 社会福祉法人
開催場所 福祉施設の一室など
カフェの内容 医療・介護専門スタッフによる相談会
簡単なゲームや脳トレ
お茶を飲みながら会話を楽しむ
料理教室など
費用 無料、または昼食・飲み物代など

医療・介護専門スタッフが認知症の人とそのご家族からの相談を受けるタイプの認知症カフェもあります。
福祉施設がボランティアとして開催している場合が多く、専門職の方と気軽に話せる場として利用されています。

自治体が主導しているタイプ

主催 市町村
開催場所 施設の一室など
カフェの内容 お茶を飲みながら会話を楽しむ
クラフト工作
体操など
カフェによっては医師や介護専門スタッフも参加している場合もあります
費用 無料

自治体からの委託を受けて実施している認知症カフェです。
内容は上述した二つとあまり変わりませんが、自治体が主導となっていることから頻繁に開催されていたり、費用がかからない場合が多いです。

地域住民も参加出来るタイプ

主催 市町村やNPO法人など
開催場所 施設の一室や町の集会所など
カフェの内容 お茶を飲みながら会話を楽しむ
地域の見守りについてのあり方について意見交換など
費用 昼食・飲み物代など

地域住民の横のつながりを作ることを目的としているので、地域住民の誰もが参加できる認知症カフェです。
地域住民も含めて交流することで、認知症への理解を深めてもらったり地域ぐるみで認知症の人へのケアについて考えることが出来ます。

実際に認知症カフェでどういうことをしているの?

認知症カフェで実際にどういう活動をしているのか気になりますよね。
やはり一番多いのは、カフェという名前の通りお茶を飲んで会話を楽しむタイプのものです。
しかし、最近では認知症カフェも多様化してきており、交流をより楽しめるようバラエティに富んだ催しをしているところもあります。

以下が実際に認知症カフェで行われている催しの内容です。

  • 認知症の人と一緒に料理を作る
  • 音楽の生演奏会
  • 映画の上映会
  • 散歩や体操
  • 編み物や手芸、クラフト工作など
  • 脳トレ
  • 簡単なゲーム
  • カラオケ大会
  • 認知症の人が給仕を行うお茶会
  • 囲碁や将棋
  • 簡単な健康チェック
  • 遠方への外出
  • 子どもとの交流
  • アロマセラピーなど

こんなに色々あるなんて驚きですね!
脳の運動になるようなものだったり、気分転換やリラックスを目的としたものだったりと利用する人の心も身体も満たせるような内容が多いです。

お近くの認知症カフェの探し方

厚生労働省の平成26年度の実績調査によりますと、全国で655つもの認知症カフェが開催・運営されています。

地域によって取り組みが異なるので全国一覧で確認できるようなサービスは今のところないようです・・・。
ただ、仙台市などは市が開催情報をまとめている場合もあります。

参考:仙台市の認知症カフェの開催情報

まずはお近くの自治体の窓口や、地域包括支援センターへお問い合わしてみると良いでしょう。
もしどこに問い合わせればいいか分からない方は、下記のページでお住いの介護に関する窓口を確認することができます。

参考:地域窓口

まとめ

介護者の精神的な負担軽減やケアに大きな役割を担っている、認知症カフェについて説明しました。

あなたと同じようなお悩みを抱えた方が近くにいる
それを知れるだけでもとても心強くありませんか?

介護者の方が生き生きと無理ない介護をすることで、認知症の人のケアの向上にもつながりますので一石二鳥ですよね。

介護と長く付き合っていくためには、地域の取り組みを利用したり、同じ立場の横のつながりを増やして、介護者も安心した気持ちで過ごすことが大切です。
まずは「介護者が元気でいること」それが介護を続けていく一番の秘訣です。

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