認知症による徘徊はなぜ起こる? 徘徊の原因と効果的な徘徊対策について

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認知症による徘徊はなぜ起こる? 徘徊の原因と効果的な徘徊対策について

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認知症による徘徊は人によって様々な傾向がありますが、いずれも共通するのは介護者の方の負担がとても大きい点です。

  • 「スーパーに買い物へ行ってくる」と出かけたきり戻って来ない。
  • 深夜、家族が寝ている間に寝間着のまま外へ出てしまう。
  • 夕方になると「実家に帰ります」ともうすでに取り壊した実家へ帰りたがる。

など、徘徊は時間帯や場所に限らず突然起きてしまうので、原因や対策が分からなくて途方に暮れてしまいますよね・・・。

そのため、介護者は認知症の人の行動に常に気を配らなければなりません。
徘徊をしようとする認知症の人を夜も寝ずになだめて睡眠不足になってしまったり、
交通事故にあったら…行方不明になってしまったら…と不安やストレスを常に抱えてしまったりと、
肉体的にも精神的にも疲れきってしまう方が非常に多いのです。

この記事ではそんな介護者の方のために、徘徊が起こる原因と徘徊が起きてしまった場合の効果的な徘徊対策についてご説明いたします。
徘徊について正しい知識を身につけて、徘徊と上手に付き合っていきましょう!

認知症の人が徘徊してしまう原因とは

徘徊という言葉のイメージから

「ただあてもなくふらふらと彷徨っている」
「目的もなくウロウロしている」

などと思ってしまいがちですが、認知症の人は何かしらの目的や理由を持って行動しています。

そこを理解せずに頭ごなしに否定したり無理やり引き止めたりすると、かえって徘徊の症状はひどくなってしまうんです…。

間違った対応をしないためにも、徘徊をしてしまう原因をつきとめましょう!

認知症による徘徊の原因は大きく以下の4つが考えられます。

  • 見当識障害
  • 不安・ストレス
  • 前頭側頭葉変性症の常同行動
  • せん妄

それぞれの原因についてご説明していきますね。

徘徊の原因その1:見当識障害

  • 通い慣れた道のはずなのに迷ってしまい戻ってこれなくなる
  • トイレを探して家の中をウロウロする

このような徘徊は見当識障害が原因と考えられます。
見当識障害

見当識とは時間・場所・人物などを記憶したり認識したりする能力のことをいいます。
見当識障害がおこると、例えば以下のようなことがわからなくなってしまいます。

  • 今日が何月何日かわからない
  • 今が朝なのか夜なのか(または夏なのか冬なのか)わからない
  • 自分が今どこにいるのか、居場所がわからない
  • 相手と自分の関係性がわからない

見当識障害は認知症の中核症状(※)のひとつで、認知症の初期からほぼ全員にみられる障害です。

中核症状とは

脳の機能が傷ついてしまい上手に働かなくなることが原因で起こる「認知機能」の障害のことです。
認知症には様々な症状がありますが「中核症状」と「周辺症状(BSPD)」の大きく二つに分けられます。中核症状は、日時や場所が分からない見当識障害をはじめ、数分前の出来事を忘れてしまったりする記憶障害など認知症の代表的な症状といえます。

徘徊の原因その2:不安やストレス

不安やストレス

  • 外出先でそわそわと落ち着きがなくうろついてしまう
  • 引っ越し後に徘徊がはじまった

このような場合は、不安やストレスが原因となって徘徊という行動にあらわれているのかもしれません。

慣れない外出先や新しい環境には誰だって不安を感じてしまいますよね?
特に認知症の人は「慣れてない」状態が大の苦手です。

自分の今いる状況で感じている不安や恐怖から逃れるために、徘徊行動をしてしまう人は少なくありません。

また、馴染みのあるはずの家の中でも不安やストレスを感じている場合があります。

例えば、家の中で認知症の人につい怒鳴ったり、八つあたりしてしまったとします。
その場合「怒鳴られた」出来事自体は忘れても、「嫌な気持ちになった」ことは覚えています。

認知症になっても「感情」に関わる記憶は残りやすいのです。

その結果、嫌な気持ちになるところから逃げたいという理由で徘徊してしまうのです。

その他にも、退屈になったり孤独を感じると徘徊してしまうケースは多いです。
退屈や孤独でストレスを感じるのは認知症の人だからというわけではなく、私たちも一緒ですよね。

徘徊という行動に気をとられず、徘徊行動の裏側にある認知症の人の感情を気にかけるようにしてください。

不安な今から逃れたい「夕暮れ症候群」

夕暮れ症候群

夕暮れ症候群とは、夕方になるとそわそわし始めたり徘徊し始めたりする、認知症の人によくみられる症状のひとつです。

  • 夕方になると自宅にいるのに「家に帰ります」と徘徊し始める
  • 退職してしばらく経つはずなのに「会社に行かないと」と言い出したりする

このように、どこかへ「行く」や「帰る」という目的を持った徘徊は、認知症という不安定な状態の自分から、かつて自分がもっとも生き生きとしていた頃に戻りたいという願望が背景にあることが多いです。

なぜ夕方なのかというと、夕方の時間帯は家族が帰ってきたり食事の準備など家の中がバタバタしがちになります。

介護者の方もこの時間帯は認知症の人につきっきりでいられないことが多く、認知症の人は「自分はここにいていいのだろうか?」と次第に不安になってきます。

その結果、ここは自分の居場所じゃないと思い込んでしまい徘徊という行動に現れてしまうのです。

夕暮れ症候群と名前がついているくらいですから、こういった症状の認知症の人はとても多いのです。
不安やストレスといった「感情」が、認知症の人の行動に大きく影響していることがわかりますよね。

徘徊の原因その3:前頭側頭葉変性症(FTLD)の常同行動

  • 日課の散歩に台風の日や雪の日なども関係なく行こうとする
  • 家の中を一周するのを繰り返している

同じ行動を繰り返す徘徊の場合、前頭側頭葉変性症が原因である可能性が高いです。

前頭側頭葉変性症とは、若い世代の若年性認知症に特に多くみられる認知症で、脳の前頭葉と側頭葉が徐々に縮んでいってしまうことによって起こります。

前頭側頭葉変性症

前頭側頭葉変性症の代表的な症状として「常同行動」という症状があります。
常同行動とは、文字の通り常に同じ時間に同じ行動を繰り返し行うことをいいます。

普通の日課と違うところは、
例えば、台風が来てとても外に出られる状態じゃないのにも関わず散歩に出かけようとするように、
常同行動はどんなことがあってもその行動を取ろうとします。

居場所が分からなかったり道に迷ったりしているわけではないので、常同行動の内容によっては特別な対策をとらなくても問題ない場合が多いです。

しかし、見当識障害と組み合わさると常同行動中に道に迷って戻れなくなるというパターンもあるので注意が必要です。

徘徊の原因その4:せん妄

せん妄状態

  • 混乱が強く興奮状態で歩き回っている
  • 夢遊病のようにふらつきながら徘徊している

ご本人が通常の精神状態ではない時に起こる徘徊は、せん妄が原因である場合があります。

せん妄とは意識が乱れ頭が混乱した状態のことで、興奮して動きまわったり話が全く通じなくなったりします。さらに、幻覚や妄想なども引き起こします。

せん妄と認知症は似たような症状が多く誤診されることもありますが、あくまで異なる障害であることに注意してください。
しかし、認知症の人がせん妄を併発する場合もありますので、ご自身で判断したりせずに専門の医師の診察を受けてください。

徘徊は、上記の原因以外にも複数の原因が組み合わさって起こることもあります。もしご自分では分からない場合は、独断せずにケアマネージャーさんや専門家の医師に相談してみてくださいね。

徘徊が始まったら…。徘徊の正しい対応の仕方

徘徊の対策

認知症による徘徊が必ず無くす方法というのは残念ながらありません…。

しかし、介護者や周囲の工夫しだいで徘徊の頻度が減ったり軽くなったりすることは多いんです。

ここでは介護者が家庭でも出来る徘徊を減らすための対策や対応の仕方についてご紹介します!

徘徊の目的や理由を探ろう

まず大切なのは認知症の人の徘徊する目的を知ることです。

外へ出ようとしていたら止めるのではなく、

  • 「◎◎さん、どちらへ行かれるんですか?」
  • 「よろしかったら理由を教えてくれますか?」

などまずは理由を聞いてみましょう。

認知症による徘徊には目的や理由があります。

的を得られない返答しか返ってこなくても質問を変えるなど工夫をして、認知症の人の本当の目的を探ってください。
そして、認知症の人がやりたいこと、やろうとしていることをできるだけ実行してもらえるようにします。

例えば、「実家へ帰りたい!」という理由で外へ出ようとしていたら、
「そうだね。実家へ帰ろうね」と肯定しながら、家の周囲を一周してみましょう。
そして「家についたよ」「疲れたからちょっと休んでいこうか」などと自然に家の中まで誘導すると、認知症の人は満足して素直に家に入ってくれるケースもあります。

無理に説得しようとしたり否定したりしてしまうと、認知症の人は「自分のことをわかってくれない」と思ってしまい、かえって徘徊が悪化してしまうケースもあります。

認知症の人とのコミュニケーションや会話のポイント

そうは言っても症状が進んでくると、コミュニケーションをとるのも難しいですよね…。

どうしても徘徊の目的や理由がわからない…という方も焦らなくて大丈夫です。

認知症の人にとって心地いい会話やスキンシップをとるだけでも、不安やストレスが軽減され徘徊が少なくなったケースもあります。

会話をする際のポイントを以下にまとめましたので、参考にしてみてくださいね。

  • ご本人の好きな話題や興味のあることについて話をする
  • 感謝したり褒めたりなど肯定してあげる
  • 安易に否定しない
  • 相槌を多くいれたりと共感しながら相手の言葉を聞く
  • 認知症の人のペースにあわせてゆっくり会話をする

なかなか思った通りにコミュニケーションがとれないと、介護者の人もストレスがたまってしまいますよね…。
全てを完璧にやる必要はないので、無理のない範囲でご自分が出来ることをやってみてくださいね。

認知症の人が安心できる環境作りで徘徊を削減

安心できる環境づくり

徘徊の原因のひとつである、不安やストレスを減らす工夫をしましょう。

ストレスを減らせと言われても具体的にどういうことをすればいいの?

そんな方のために実際に効果があった方法をご紹介していきます。

ただ、不安やストレスを感じるポイントは人それぞれですので、
下記の方法を試したあとは認知症の人の反応や様子を気にかけるようにしてくださいね。

落ち着ける場所を作る

家の中で落ち着くことができないと、自分が落ち着けるところを探すため徘徊しようとしてしまいます。
認知症の人が落ち着いて過ごすことができる環境を「なじみの環境」と呼んだりします。
それほど認知症の人にとってなじみのある環境づくりは大切なのです。

認知症の人が部屋の中でリラックスできているかどうか日頃から丁寧に観察してみましょう。
ご本人の表情やしぐさに何かしらのヒントがあるはずです。
そわそわしたりイライラしているようでしたら、今いる場所に不安やストレスを抱えている可能性が高いです。

例えば以下のような工夫をしてみてください。

  • 家族や孫の写真を置いておく
  • 観葉植物やお花を飾る
  • 認知症の人専用の席を用意する
  • なじみのある生活用品などを置いておく

落ち着ける環境は人それぞれですので、ご本人がどんな物が好きだったのかな?
などを思い返しながら、色々試してみてくださいね。

ただし、急に色々変えてしまうとその変化がストレスになってしまいますので要注意です。

また、夕暮れ症候群の段落でも触れましたが、時間帯によって家の中の環境が変わる場合は一人でゆっくり過ごせる部屋に移動させるなども効果的です。

役割を与えて家族との一体感を

家族との一体感

認知症になってしまうと、いままで出来ていたことが出来なくなったりまたは出来るまでに時間がかかったりするので、発症前と比べてただぼーっと座ったり何もしていない時間が多くなりがちです。

このような場合、認知症の人は「自分は必要とされていない」などと不安や焦りにかられて強い孤独感を抱いてしまうことが多いです。
孤独感により自分の居場所を求めて徘徊へと繋がってしまうのです。

こういった場合には、認知症の人に無理のない範囲で役割を与えてみたりお願いをしてみたりします。
以下のような感じで簡単なもので構いません。

  • 洗濯物をたたむなどの比較的簡単な家事をお願いする
  • ご本人が得意だったことをやってもらう(絵や楽器、日曜大工など)

そして認知症の人がその役割を終えたときは、しっかり感謝の気持ちを伝えて労いましょう。
感謝されて「嬉しい」といった感情は長く残りますので、「今いる場所は自分の居場所なんだ」と認知症の人に思ってもらうことが大切です。

家の中で迷う場合は目的地までを分かりやすくする

暗い廊下

自分の部屋やトイレの場所が分からなくて家の中を徘徊してしまう場合は、目的地までをわかりやすくしてあげましょう。

具体的には以下のような対応がおすすめです。

  • 大きめの画用紙に「トイレ」と書いてトイレの入口に貼っておく
  • 夜でもトイレまでの道のりに明かりをつけておく

ちょっとした手がかりを作ってあげることで、場合によっては迷わずたどり着くことが出来るのです。

もしもの「行方不明」に備えて発見しやすい工夫を

行方不明に備える

徘徊を軽減する対策と同時に、万が一徘徊してしまった場合の対策もとっておきましょう。

平成27年度の警察庁の統計データによると、認知症と思われる行方不明者は統計を開始した2012年から2015年まで右肩上がりで増え続けています。

2013年からはなんと、3年連続で行方不明者が1万人を超え、今後も増加傾向であると社会的な問題となっているのです。

さらに、大きな話題となった認知症患者によるJR東海鉄道事故をはじめ、命に関わる重大な事故が多発しています。

徘徊による行方不明はいつどこで起きてもおかしくありません。

万が一の場合に、

少しでもご家族が冷静でいられるように、
少しでも早く認知症の人を発見出来るように、

今から始められる徘徊対策をご紹介します!

名札や連絡先を身につけてもらう

「名前」、「連絡先」、「住所」を書いた名札を、認知症の人の衣服に縫い付けたり、バッグの内側のポケットなどにいれておきましょう。
全ての衣服につけるのは大変なので、普段から認知症の人が外に出るときに着る「お気に入りの外出着」を決めておくのもおすすめです。

名札を身につける時のポイント
  • 名札は服の内側など目立たない場所につける
  • ご本人が常に持ち歩くカバンやお財布の中に名札を忍ばせる

名札を持ち歩くのは自尊心が傷つき嫌がる認知症の人も多いので、ご本人にわからないような工夫をします。

GPSを使用した位置情報端末を利用する

gps

GPSとは、人工衛星を利用してどこにいるのかを正確に割り出してくれる装置です。
このGPS機能がついた端末を持ち歩くことで、居場所がわからなくなってもどこにいるのかを把握することができるのです。

使い方としては、

  1. 手のひらサイズくらいのGPS機能付端末を認知症の人に持ってもらいます。
    ※名札と同様に衣服に縫い付けたりいつも使うカバンの中にいれておくことが多いです。
  2. 居場所がわからなくなった場合、ご家族の方のスマートフォンやパソコンなどで居場所を確認します。

神奈川県茅ヶ崎市や奈良県奈良市などでは、自治体がGPS機能付端末を貸出している場合もあります。

ただ、GPS機能付端末を利用するほとんどのサービスは月額制で料金がかかってしまいます。
しかし、GPSで居場所をすぐに知れることは徘徊による事故などを防ぐにはとても効果的な対策のひとつです。

警察に情報を共有しておく

徘徊する心配のある認知症の人の特徴などを、前もって最寄りの交番へ届けておくのも良い方法です。

届ける際に、よく着ている服装や見た目の特徴などを伝え、もしこのようなご老人が一人で歩いていたら連絡をくれるようお願いしておきます。

こうすることで、いざ行方不明になった際でも情報共有の手間が省けるので迅速な対応が可能になります。

地域の徘徊SOSネットワークを活用する

徘徊SOSネットワーク

「徘徊・見守りSOSネットワーク」はご存知でしょうか?

徘徊する高齢者の方が行方不明になった際に、地域全体で発見するための体制のことです。

行方不明が発覚しご家族の連絡を受けたら、警察の他に自治体や地域の団体が協力して行方不明者を発見・捜索をします。
事前に認知症の人の情報を登録しておくことが出来る場合もありますので、行方不明になった時により迅速に発見することが可能です。

地域によって徘徊SOSネットワークの呼び名や取り組みが異なりますので、まずは各自治体の地域包括支援センターまでお問い合わせしてみてください。

徘徊SOSネットワークは各自治体が主導となって取り組まれている事業です。
こちらの記事もしもの行方不明の備えに!地域で支えあう徘徊SOSネットワークを活用しよう」で、より詳しく徘徊SOSネットワークの利用の仕方や実際の事例などをご紹介しています。

無理のない介護のために。介護者の負担を減らす工夫

介護疲れ

ここまでは認知症の人や周囲に向けた対応についてご説明してきました。
もう一つ大切なポイントは、実際に介護をしていらっしゃる介護者の人の負担軽減です。

  • 「介護の悩みをどこへ相談すれば分からない…」
  • 「認知症のことをあまり人に言いたくない」
  • 「症状が悪化して自分の手に負えなくなってきた」

認知症介護の苦労やお悩みを周囲に言えず、一人で抱え込んでいませんか?
認知症介護は一人で抱えきれるものではありません。

介護者の方が倒れてしまう前にご自身の心と体の健康にも十分気遣ってあげてください。
介護者の方が元気で健康じゃないと、ケアの質も悪くなって結果的に認知症の人にも悪い影響が出てしまいます…。

そうはいっても介護はやることも多く本当に大変です。
慣れないうちはなおさらです。

ですので、ぜひ介護者の人に知っていて欲しい負担軽減のためのアドバイスをご紹介します!

介護保険サービスを利用しよう

在宅介護でも1から100まで全てご家族の方が介護する必要はないのです。

介護保険サービスは様々なタイプのものがありますので、ご自身の生活スタイルや状況にあわせて利用することが出来ます。
簡単にまとめてみましたので、ご参考にしてみてくださいね。

以下でご紹介しているサービスを受けるには、お住いの市区町村へ申請をして「介護が必要な状態である」と認定してもらう必要があります。

まずは、市区町村の介護保険担当窓口または地域包括支援センターに気軽にご相談してみてください。

認知症の方によくご利用されている介護サービス(一部)

通所介護(デイサービス)日帰りで入浴などの日常生活の支援や機能訓練を受けられます。
家族の負担軽減が目的として実施されることもあります。

訪問介護(ホームヘルプ) 自宅を訪問し、食事、排泄、入浴などの介護や、掃除や洗濯などの生活の援助を受けられます。
訪問入浴 自宅を訪問し入浴の介護を行います。
訪問看護 看護師などが療養上のお世話や診療の補助を行います。病状に応じて、リハビリや病状のチェックなども受けられます。
通所リハビリ リハビリテーション施設に通い、日常的な生活の支援や機能訓練(リハビリ)などを受けられます。
短期入所生活介護(ショートステイ) 連続30日まで特定の福祉施設に入所できます。特に利用者の病状が悪化した場合や、介護者の負担軽減や冠婚葬祭時に利用されることが多いです。
短期入所療養介護(医療型ショートステイ) 連続30日まで医療機関や介護老人保健施設で日常生活上のお世話や、医療、看護の機能訓練などを受けられます。
福祉用具貸与 利用者の心身の状況や生活環境などを考慮し、特殊寝台や歩行器、徘徊感知機器など福祉用具を借りることができます。
認知症対応型通所介護 認知症の専門的なケアを受けることができます。

参考:公表されている介護サービス一覧(厚生労働省)

徘徊防止グッズを上手く活用しよう

介護保険サービスよりもっとお手軽に使えるのが徘徊防止グッズです。
インターネットなどすぐ購入できるお手軽さが人気で、使っている介護者の方も多くいらっしゃいます。

その中で、わたしがオススメするグッズと使い方をご紹介します!

人感センサー付きグッズ

人感センサー
販売HPはこちら

以下のようなケースでお悩みの方にオススメです。

  • 足が悪いのに階段を使おうとする
  • 家の中で少し目を離した隙に勝手にどこかへ行ってしまう

人感センサーとは、人を感知して自動的に明かりがついたりメロディが鳴ったりしてお知らせしてくれる機能があります。

玄関や階段などにつけておくと、認知症の人が通った場合にセンサーがお知らせしてくれるので四六時中気にしなくてもよくなります。

上記の人感センサーは人の声を録音して再生できるのもポイントです。
家族の声で呼びかけることで認知症の人も反応してくれやすくなります。

徘徊防止鍵

両面安心
販売HPはこちら

以下のようなケースでお悩みの方に特にオススメです。

  • 深夜に徘徊が多く、安心して眠れない
  • 家に認知症の人と自分だけの場合が多く、少しの外出も気軽に出来ない

深夜に徘徊をしてしまう認知症の人はとても多いんです。
そのような場合、介護者はその度に起きて探しに行ったり寝かしつけたりと、安心してぐっすり眠れないですよね。

特に深夜の徘徊は介護者の負担が大きく、日常生活にも支障が出ることが考えられます。

そのような場合、玄関に徘徊防止鍵を取り付けてみてはいかがでしょうか?
徘徊防止鍵とは、必要な時にだけ内側から開かないようにすることができる特殊な鍵のことです。

介護者が買い物や用事を済ませに行く間や深夜の寝ている時間帯に鍵を使うことで、介護者の負担軽減として大きな役割を果たします。

なるべく介護者の人の目が届く範囲で、一定の時間だけお使いください。
認知症の人を常に閉じ込めておくのは厳禁です!絶対にやめてくださいね。

徘徊の予防や防止に役立つグッズはこちらの記事「認知症による徘徊の予防や防止に効果的な徘徊防止グッズ【ケース別】」でまとめてありますので、どういうのを使えばいいか迷っている方はこちらも参考にしてみてください。

認知症カフェに参加してみよう

認知症カフェ

最近、認知症の人やそのご家族の方、専門職の方が集まって情報交換や交流ができる認知症カフェというイベントが様々な地域で開かれています。

カフェの形態によってタイプは異なりますが、自分と同じような徘徊についてのお悩みを抱えている方との情報交換や、専門家のアドバイスやケアの仕方について学べたりします。

認知症の人が自分らしく暮らし続ける社会の実現のため、厚生労働省をはじめとした「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」の具体的な取り組みのひとつで、介護者の負担軽減が目的でもあります。

認知症カフェは以下のようなタイプがあります。

認知症カフェタイプ 認知症の人やそのご家族、専門職の方が一緒に交流し、介護の工夫やくらしの情報を得ることを目的としています。
家族交流会タイプ 主に認知症の人のご家族を中心とした集まりです。お互いのお悩みや経験などを話し合い共有する会です。
ご本人中心のタイプ 認知症の人を中心とした集まりや相談会です。

家族の介護のお悩みって人には言いづらいですよね。
悩みを言ったとしても、実際に介護をしている方じゃないとわからないことはたくさんあります。

さらに、介護者の人は責任感が強くどうしても介護のお悩みを一人で背負い込んでしまいがちです。

認知症カフェは介護者の負担軽減に向けての取り組みのひとつなので、介護疲れで共倒れにならないためにも是非一度参加してみることをオススメします。
特に「認知症カフェタイプ」や「家族交流会タイプ」は、自分と同じ立場の人と情報交換が出来るのでとても心強いものです!

自治体によっては認知症カフェのイベント情報を掲載しているところもありますので、インターネットや市区町村の窓口で調べてみてくださいね。

認知症カフェについてはこちらの記事「一人で抱え込まないで!徘徊が始まったら頼るべき認知症カフェについて」でさらに詳しくご説明しています。

まとめ

認知症の徘徊の症状について、原因と対策をご紹介しました。
いかがでしたでしょうか?

徘徊の対策について一番大切なのは、認知症の人はその人なりの理由や目的をもとに行動していると理解することです。
どんな理由や目的があるのか知ることが、徘徊の症状を軽減させるための第一歩です。

また、徘徊の症状はその人の性格やこれまでの生い立ち、人間関係なども大きく影響します。

認知症になってしまったからといって、その人の人格が全てなくなってしまうわけではありません。
「その人らしさ」が残っているからこそ、徘徊に限らず認知症の症状は個人差が大きいのです。

徘徊の対応でもうひとつ気をつけるべき点は、行方不明になった場合の備えをしておくことです。
行方不明はその人の命に関わるので、しっかりと対策しておきましょう。

そして最後に、介護者の人自身のケアも忘れないでください。

介護疲れが原因で体調を崩したり認知症の人に辛く当たってしまったり・・・。
そんなことになってしまったら認知症の人にも悪い影響が出てしまいますし、ご自身も一番辛いですよね。
そうならないためにも、グッズや外部のサービスなどを上手に使って、力を抜けるところは抜いていきましょう。

まとめると、徘徊の対策で大事なポイントは以下の3つです。

  • 徘徊の原因や目的を知る
  • 行方不明の備えをする
  • 介護者自身のケアも忘れずに!

認知症の症状自体を完治させることは出来ませんが、徘徊行動は認知症の人を理解し適切な対応をすることで減らすことが出来ます。
まずは認知症の人に寄り添い、徘徊をしてしまう原因を見つけるところから始めましょう。

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